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番妖愁月綺譚(つがいあやかし しゅうげつきたん)

【次門Wikipedia】

・次門稲荷神社(つぐかどいなりじんじゃ)
宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、次門大山神(つぐかどのおおやまのかみ)、摂社に竜月大明神(たつきだいみょうじん)を祀る。

延暦 4年(785年)*に建立されたのが始まりとされる。
郷土史によると延享2年(1745年)に起きた大水害により、麓の集落から稲荷山に移転したとされる。

一時は荒廃し神主不在の時代もあったが、重要文化財申請が通り、昭和60年に改修工事が行われ今の姿となった。さらに翌年の61年「パワースポット *」が流行語になったことで参拝客が増加。近年でもテレビや女性誌など様々なメディアに取り上げられる名所となっている。
秋には境内に彼岸花が咲き誇るため、カメラマンの間では名の知れた撮影地になっている。

・竜月川(たつきがわ)
稲荷山を含む次門山系を源流とする一級河川。次門町内で本川と派川に分かれており、それぞれ隣接するN県の湾に向かって流れている。
古来より竜神の棲む川と言われ、下流で造られる地酒は、口当たりが良くまろやかな味わいで有名。

・狐石(きつねいし)
石の姿のまま、今も片割れの帰りを待ち続けているという狐の伝承を持つ、稲荷山頂の霊石。次門町の守護神とされている。
遠目で見ると、黒い狐が座って空を見上げているような形をしている。
周囲はしめ縄で囲われており、立て札には外国人観光客用に油性ペンで「Rock Guardian」と英訳が併記されている。

・月見鳥居(つきみとりい)
狐石の傍らに建てられている鳥居。南東を向いて建っており、宵の空に昇る月と鳥居を入れたアングルがSNS映えすると最近注目されている。
中秋の名月の時期は、彼岸花の開花時期も相まって、神社の登山口から山頂まで数十メートルの撮影待ち行列ができる。懐中電灯やライトの行列が連なって狐火のように見えるらしい。

・山神様(やまがみさま)
次門大山神(つぐかどのおおやまのかみ)。
S県山間部の土着の神様。次門の総鎮守神であり、厳格な女神。
春になると里へ降りてきて、「田の神」として稲の生育を守護し、収穫が終わる秋になると再び山に帰り「山の神」に戻るとされる。
狐は春に里に現れ子育てをし、秋に山に帰るという生態から、 神の使いとされるようになったという。

・神使(しんし)
「神の使い」「眷属」「霊獣」。天満宮の牛、 住吉大社の兎、伏見稲荷の狐などが有名。本来は神そのものではないが、動物自身が祀られている神社も実際に存在する。 面を被っているのは正体を隠すため。

・番(つがい(ひ))
「雄雌の一組み」「異界とのつなぎ目」という意味を持つ。

・妖(あやかし)
「妖怪」「物の怪」「愚か者」。信仰が衰え零落した神が成り果てたもの、 長年の歳月を経た万物に魂が宿ったものなど様々な経緯がある。
正体を暴かれると神通力を失ったり、消滅したりする。
ここでは格堕ちした神使達を指す。

・愁月(しゅうげつ)
愁える月。「悼み、想う」、「遠く、遥か」。 残された片割れは月を見上げ何を想うのか。

・綺譚(きたん)
面白くて不思議な言い伝え「奇譚」に美しいという意味を持つ漢字「綺」を組み合わせた永井荷風の造語。

・吼噦(こんかい)
狐の鳴き声を表し、転じて狐そのものを表す語。 狂言「釣狐(つりぎつね)」の別名。「別れの後に鳴く狐、鳴く狐、吼噦の涙なるらん」。

・彼岸花(ひがんばな)
別名は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)。また、赤い炎を連想させることから狐の松明(きつねのたいまつ)とも呼ばれる。
夏の終わりから秋にかけて咲く花。枯れても散らず、雨に溶けて消えるまで、立ち枯れる花である。
花言葉は「また会う日を楽しみに」「想うはあなた1人」。

・次門稲荷感謝祭
稲の育成を守護してくれた神様に感謝し、山へお帰りになられるのを見送るお祭り。秋の例大祭である。
御輿の担ぎ手は当番制で、囃子手は子供達が担う。そのため次門の小学校では音楽の授業で横笛・和太鼓を習うという。

行事プログラム

[14:00]御霊入れ(みたまいれ)
本殿から神輿に御神体を遷す儀式。
刈り取った稲と地域の酒蔵から奉献された清酒が本殿に捧げられる。

[16:00]宮出し
御輿とお囃子台が、鳥居をくぐって氏子地域の巡行に出発する。
氏子はみな狐の張り子面を被り、神使に扮して御輿を運ぶ。
神社を起点に川上から川下へ、笛太鼓とお囃子の音色が響く。

[18:00]宮入り
石灯篭や飾提灯に火が灯り、戻ってきた神輿と太鼓台が境内に展示される。
神楽殿で奉納舞踊や演芸など、次門の郷土芸能が披露される。参拝者には餅や御神酒 *が振るまわれ、たくさんの人で賑わう。
また、境内や参道、門前町には露店が立ち並び、大勢の観光客が訪れる。

[20:00]奉納花火大会
竜月川の河川敷から約250発の花火が打上げられ、夏の終わりを告げる。

神社創建の*延暦 4年(785年)は乙丑(きのとうし)。大水害の起きた延享2年(1745年)、重要文化財指定となった昭和60年(1985年)も乙丑の年である。次門は歴史的に、なぜか乙丑の年に大きな災害や変革が訪れている。
乙丑とは十二支と十干を組み合わせた60種類の暦「 六十干支 」のうちの1つ。「壬申の乱」の「壬申」や「戊辰戦争」の「戊辰」もここから来ている。

*パワースポットという言葉は昭和61年『現代用語の基礎知識』(自由国民社) に見出し語として初めて登場した。

*酒税法が整備される前は、寒期に境内の酒樽で仕込こまれたお酒が出された。

*ところで、「次門→次の門」は英語に直すと「ネクストゲート」。 狐面の絵付けで利用させていただいた場所『craft space NextGate( @CNextgate )』さんから拝借しています。 エアーブラシや絵具の使い方を親切に教えてくれますよ。
そう、この民話とルポはフィクションです。
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